

依頼人の「原稿はすぐに送ります」という言葉を鵜呑みに出来るわけなく
関川夏央の「中年シングル生活」を読み始める。
長編小説ではなくエッセイ集を選ぶところがいじらしい。
「あなたはオトナになるまで再婚なんかしちゃ駄目よ」
「どれくらい駄目だろう」
「懲役18年よ」
なんて彼女の最後の台詞から始まる
エッセイであり書評でもあり
ハードボイルド小説であったりする。
ハードボイルド小説とは暴力小説ではない。
たんにモダニズム趣味の吐露でもない。
それは大都会で原子のように浮遊する人間たち
とりわけ家庭という安住の場所からこぼれた独身者たちが
ひそかに友を探す物語だということができる。
男は女の人が考えている以上にロマンティストで
考えている以上に面倒くさい。