武藤サツキインタビュー(後編)
音楽づくりと洋服づくり、それぞれのバランス

つねに新しいカルチャーを提案をしつづける東里起とふたりの音楽ユニット"Small Circle of Friends"としても
活動し、アパレルブランド"75 CLOTHES"のデザインもおこなう武藤サツキさん。
ひきつづき、ブランド"75 CLOTHES"のお話を中心に、音楽制作と服づくりのバランスなど、お話しいただきました。

構成=Kaneko Hideshi

 

─その期のいわゆる"テーマ"みたいなものはつくらないのですか?

 

とくに考えてはいないです。だけど、一期目に関していえば、"Border Birds"という名前を付けて展開したことかな。
最初にボーダーをつくったときに、自分でボーダーを手引きしていて、それが波に見えたんです。微妙なズレが"海"っぽく見えたので、それに鳥を飛ばしたらかわいいかなと思って、北村さんに鳥を飛ばしてもらって──。布の使用する場所ってそれぞれちがうので、一枚ずつ鳥の場所がちがうものになるんですよね。切ってつくったらそうなった──。そういう事が楽しかったし、それがよかったんです。

 



─なるほど。

 

2期目は、水玉が欲しかったから自分で描いたんです。描いているうちに、水玉のなかに白い空白が出来るんですよ。
それが"目"に思えたのでしっぽをつけて魚にしてみたんです。そのときの名前を"Dot Fish"にしてみました。
でも、絵の具で好きに描いていて、プリント専門の方に「お願いします!」ってわたしたら、
「サツキさんこれ、10版以上になりますよ!」って──、素人の"こわさ"ですよね(笑)。
もちろん、最初の一期目のときにプリントの大きさや版数でコストが変わることは学んでいたのですが、その時はさすがに
ゾワ〜っと鳥肌が立ちましたね。で、どうにか4版までにしていただいてすすめられたんです。
「無知ってこわい!」と思いましたが、専門家のヒトいわく「いや,そのくらいの方が面白いものできますよ」とのことでした。
うれしいやら汗がでるやらで(笑)......。


─今季は、どんなお名前がついているのでしょうか?

 

今回の春夏に関しては、チェックが着たかったのですが、好きなチェック柄がなかったんです。だから、また自分で描いたんですよね。そのチェックにツタを描いてみたのですが、それはscofのスタジオ"STUDIO75"の横に大家さんのお庭があって、そこがすごくいい庭なんですよ。窓のそとには木々や四季の花が咲いていて、ツタが這っていたり、それが頭に残っていたんですね。だから、描いてみたんです。そんな感じになったので、今回は"check plants"という名前にしてみました。





─いちおうテーマを決めているワケですね(笑)。

 

そうみたいですね(笑)。
それがすべてに入っているワケではないんですけれど。
いま、言われて気づきました、テーマを作っていたなって(笑)。
ブランドの大きなテーマで言うと、"自分が好きなもの着たいものをつくる"というコトですね。

 


─服づくりの上で気をつけている点はありますか?

 

毎回、かならず何かを忘れちゃうんですよ。
私がいま着ているワンピース(写真一番上)、本当はリネンのワンピースにポケットが欲しくてつくったんです。
ポケットに手を入れると肘の部分がまるくなるから、立体裁断にしてとか、いろいろ考えてつくったのに──、
最終的にポケットを付け忘れたんですよ(笑)。

 

─それっていちばん重要なモノを忘れていませんか(笑)!?

 

そうなんですよ!「このワンピースはポケットから始まったのに!」みたいな(笑)。これは性格的なものなんでしょうけれど。なので、"初期衝動を忘れないということ"に気をつけるです(笑)。
でも、思えば音でもおなじことをしているんですよね。ループの時点で「あー、こんなコーラス入れたいな」みたいなのあって、いざでき上がったときにはコーラスを入れ忘れてる。だけど、出来た音や服には不満はないので、いいかなと。

 




─音楽づくりと服づくり、どのようなバランスのとり方をされているのですか?

 

音楽の方が6〜7割くらいですかね、洋服の方はまだはじまったばかりですから。
どちらもふたりで考えてつくっていて、服のメンズに関してはほぼ東さんサイズというか、東仕様なんです(笑)。
東さんの好きなカタチを作っているんですよね。
私自身もメンズの古着とかも好きなので、いまの服はそんな部分から出来ているんです。


─音楽づくりはどのような感じでやられているのですか?

 

毎日、音をループさせたり、ビートをつくっていますね。
"メイキング ビーツ 365日"を目指してやっています(笑)。
今回の春夏の服がこれほど遅くなったのは、じつは昨年(2008年)の11月にアルバムをリリースしたというのも理由の
ひとつなんです。
はやくワンマンのライブもやりたいのですが、とにかく洋服の方を仕上げてからと思っていたので、それもまだ出来て
いない状況なんですよね。
でも、いまはふたりのコンセンサスがキチンと取れているので、フォーマットみたいなものが多少出来上がったら、
音づくりと服づくり、両方ともうまく回っていくのかなと思います。
でも、音楽に対しても、洋服に対しても、ビックリするくらい楽しんでやっているんですよね。


─音楽業界、洋服業界の違いは感じますか?

 

なんだかとても乱暴な解釈で、申し訳ないのですが──。
洋服業界には、"洋服一本! 洋服の事はすごく詳しい、だけど他のことにはあまり興味がない"という
ヒトと、"文化として洋服が好きで、そのまわりの生き方のひとつ"というヒトの2種類のタイプがいるんです。
でも、音楽業界もおなじなんですよね。"音楽一本"のヒトもいれば、井出(靖)さんや松浦(俊夫)さんみたく、
"洋服も好きだし、いろんな文化、絵や写真も好き、音楽も好き"というヒトたちもいる。
これはもうずっと昔の話ですが、私が東京に出て来たときに、井出さんが"オルテガ"を着て、"ウエストン
(J.M.Weston)"のローファーを履いてDJをしていたんです。そんなファッショナブルなDJをはじめて見たので
「すごい!」って思いましたよ。そのときは、多分、洋服屋さんの目で見てたんだろうけど──。
井出さんは音楽も詳しいし、それ以外の洋服やいろいろな文化的なことに対しても詳しいですよね。
たまに洋服のディティールや、ステッチの話なんかもされるんです。
やはり、そういう部分に憧れるし、そういうことが好きなんですよ。
わたしたちも、もちろん音楽をキチっとやっていきたいんですけれど、"それひとつにはしたくない"という感じがあるん
です。だから、それぞれ業界の違いはさほど感じないですね。
井出さんも松浦さんも、自身で自分をディレクションできるヒトたちだから素晴らしいし、好きです。
自分には、もっといろんなモノゴトをまとめたりできる、そういう力がもっとつけばいいなと思いますよ。
そうすると混乱しないで、もっと楽しく音楽とか洋服とかをやれるかな。


─今後の目標としてそうしたいということですか?

 

そうですね。
そうなれればいいです。
自分をプロデュ-スし、音やモノを作りまとめ、外に発信できる。
そういうことに憧れるし──,目標ですね。
そうなれれば、自分自身がブレない気がします。










─現在の日本の経済状況などを考えると、音楽系やアパレル系はかなり厳しい状況にあるわけですが、
今年はどんな動きをしていきたいと考えていますか?

 

考えてみると、井出さんはこの時期に"Grand Gallery"に"monaco"とか"tartown"とか、お店を作ったじゃないですか?
たとえば、レゲエのレコード一枚にしても再発でしか見たことないようなもののオリジナルがあって、
3階には本とか、ブルース・ウェーバーの『Let's get Lost』の大判のポスターとかあったり......。
それはもう"情熱"ですよね。
結局、精神論的な方向のお話になってしまうのであまり好きではないんですけれど、でもそれってホントに大切なんだなと
いうことを感じたんです。"自分の好きなことをすることが大事!"ということを、井出さんから再確認させて
いただきました。
まあ、自分においてはそれでお金がキチンとついてくるかはわからないです。
結局、お金につながるオチにはなってはいないんですけれどね(笑)。
でも、情熱という気持ち的、精神的、いわゆるメンタルな部分が、どれだけ大切かということだと思います。

─読者へひとこと。

 

お待たせにお待たせした春夏モノがあがってきます、ぜひチェックしてくださいね。
あとは、9Thアルバム「FUTURE」のワンマンライブの詳細を近々アップします。
新生"Small Circle of Friends"がみられるかも!? です。
ぜひ、期待しててください!
みなさんに会えることを楽しみにしています。

75 CLOTHESとは
Small Circle of Friendsのサツキがデザインする服が「75clothes」です。
何年も前に撮った写真をいつ観ても,新鮮な気持ちで見れたらいいと
いつも思いながら、以前洋服のバイヤーをしていた頃
洋服と雑貨に、接してきました。

それは洋服に興味が湧いたあの母を見る小さな自分の心のまま
時が経過し、洋服を選び,着、過ごした今.....
それがトラッドTraditional、と言う事に気づきました。

75clothesは四季のある日本だけど
いつでも、どんな季節でも着て欲しいと思っています。
ファッションの中にTraditional=基本、従来、
そんな匂いを感じてもらえたらうれしい。
それがどんな変わったデザインでも.....。

楽しい事を見つけられるように、そして楽しくなれるように。
季節が変わる事に少しテーマを持って、デザイン。
オリジナルプリントのテキスタイルも、楽しく着る為に.....。
そこには、何かがあってそして何かが伝わればうれしいです。
それは,何でもいいのです。

自分がみんなが楽しくなれることであれば。

2009.1.10 サツキ*

http://www.75clothes.com/

Small Circle of Friends
http://www.scof75.com/

"Small Circle of Friends" LIVE情報!
2009/04/04(Saturday)
A971 Presents
「GARDEN meets SAKURA」
at A971 (赤坂)

2009/05/05(Saturday)

JETRAG presents
SCOF&RIGO
at LIVE rise SHUNAN (周南)

open/start:20:00 / 21:00

LIVE:
Small Circle of Friends

GUEST DJ:
DJ RIGO

DJ:
RAIKI ( JETRAG CREW )
やまちゃん( JETRAG CREW )
minmin
Kan-chant
Naoji Matsushita
ZAKKY ( couture )

Ticket:
Adv 2500YEN (1d order)/Door 3000YEN (1d order)

info :
・LIVE rise SHUNAN
Tel. 0834-27-5607
http://www.shunan-rise.com/

・basque/HIP LAND MUSIC
Tel. 03-5411-4800