画家 新倉孝雄インタビュー(後)
最近のこと

新倉孝雄さんに、ひきつづき画家としての活動や旅などについて、お話を伺いました。


構成=Kaneko Hideshi

 

─最近は、どんなインスピレーションを受けて、どんな絵を描いているのですか?

最近のテーマは、"影と光"なんです。少しトーンの薄い植物を描いている作品が、そういうテーマのモノなんですけれど。



─この絵は、想像画でしょうか?それともどこか場所があるのでしょうか?

実際にある植物ではあるのですが、場所はないです。たまたまキャンバスにその影が写ったんですよ。すごくキレイなシルエットが出て、おもわず描きたくなったんですよね。しかも、影って太陽の動きといっしょにどんどん動いていくじゃないですか?伸びたり、縮まったり、ボケたりもする。その一瞬一瞬の刹那的なものを表現したくなったというか、すごくいまの自分にピッタリな"感じ"があったというか。"光と影"の動きが自分のいまの気持ちにすごく合っていたんです。
生きていることって、一瞬一瞬でそこにとどまっていない。カタチとしてそことどまらない影というのは、その一瞬しかないから生と一緒で、それを描きたいのですが、動いてしまう。でも、そこにあったコトは偽りではないんです。あったものなんだけれど、次の瞬間、そこにはない。自分の中では正直な作品だと、思っているだけなんですけれどね(笑)。
でも、いまちまたでエコとかキレイごとを言っていることが多いじゃないですか? すごく変に自然志向みたいになっていたりするのですが、それって単なるメディアに惑わされているヒトが多いと思うんです。
そういうことを考えると気持ち悪いなと思っていたんですよ。



─エコエコと言っていてもやっぱりビジネスじゃん! みたいな部分ですよね。

リサイクルとかね。日本のヒトって、メディアが提案している"幸せ"とか、そういうのにつられてしまうヒトがおおいような気がするんですよ。例えば、インフルエンザだからといってみんなでマスクをしたりとか、アレって日本っぽいですよね。他の国とかやっていないじゃないですか?たぶん不安なんでしょうけれど、なんでそんなに意志がないのかなとか。おかしいなと思うんですけれどね。



─大半のヒトたちは"右向け右"的な感じの文化で、自分の意志を通すヒトはマイノリティなんですよね。もちろんそれが悪いワケではないのですが。

そうですね。でも、そのバランスがあまりにも崩れてきているような気がするんですよ。
日本も表現する行為は、もっともっと必要ですよね。



─いいものにはいいと、ハッキリ言える文化がほしいですよね。

なんか話がそれましたけれど(笑)。



─でも、そういういろんな考えがあって、いまの絵につながってくるワケですよね。

そうですね。
でも、いまの"影と光"というのは、これからもまだ進めていこうと思っています。



─最近、新しく始められたようなコトはありますか?

絵をかいたり、サーフィンをしたり、スケボーもそうですけれど、昔からおなじことを並行してやっているんですよ。なので新しくやり始めたことは、とくにはないですね(笑)。



─最近、旅は行かれていますか?

旅は、今年(09年)の2月から3月にかけて、映画の撮影でニュージーランドに行きました。それ以外は行っていないですね。
本当は、夏くらいにヨーロッパとか行きたいんですけれどね。



─ヨーロッパは何か目的があるんですか?

ベルリンで個展を開催できるかできないかという感じなんです。いまコンタクトをとっている最中なので、それが決まればベルリンふくめフランス、スペインくらいまで、行ってみたいなと思っているんですけれどね。
それがいまのところの大きな計画というか目標です。








─サーフィンは毎週、行かれているのですか?

そうです。
行くときは週に3回とか4回とか行っていますね。



─いつもどの辺りに行かれているんですか?

この辺だと湘南が近いので、ほとんど湘南です。波が無いときは茨城の方まで行きますね。でも、その距離感が、遠くまで旅をしたりしているとあまりないんですよ。ちょっと行ってこようかみたいな感じで(笑)。茨城までちょっとといっても、クルマで1時間半くらいで、けっこう距離があるんですけれどね。








─大きな旅から比べたら、たしかに"ちょっと"ですよね。

そうなんです。ここ(nico)から新宿に行くよりも茨城に行った方が、気持ち的には近いんですよ。でも、新宿は普段からあまり行きたいと思わないですけれどね、ヒトが多すぎて(笑)。



─さて、孝雄さんといえば、"安くてうまい呑み屋"というイメージがあるのですが──。

赤ちょうちん系ですよね(笑)。



─大体はいつもの行きつけの場所にいかれるのですか?

いい店ってまだまだいっぱいあると思うんですよ。だから、そういう場所を探したりするのは好きですね。もう、この界隈(世田谷近辺)では、新しいところはないかな。離れれば、まだあるんでしょうけれどね。ちょっと飲みにいこうかという感じでなくなってしまいますから。



─なぜ、赤ちょうちん系なんでしょうか?

あまりヒトがガヤガヤしていたり、若い子たちしか集まっていないとか、そういうところはあまり落ち着かないんです。でも、小さい店だと飲むと話しかけてくるところが多いじゃないですか?その中でも選りすぐりの、なにも干渉もされないところがあって、そういうお店が好きなんですよ。居心地のいい店が、いろんな意味で"いい店"だと思うんですよね。








─新規のお店に入るポイントというのは何かありますか?

何か、匂うんですよ(笑)。いい店って、いい店の"匂い"がするというか、そうするととりあえず中に入ってみようかなと。でも、大体は"違うかな"ってなるのですが、10軒行ったら2軒はアタリだったりしますね。
何の利もないのに、そんなアホなことばかりやっていますよ(笑)。



─でも、それは本になりそうですね。

B級グルメ系ね(笑)。



─新倉たかお監修みたいな(笑)。

ハハハ(笑)。いつか井出さんと作ってみようかな。



─ありがとうございました。

 

新倉孝雄 プロフィール
1972年、東京生まれ。画家。80年代後半からカリフォルニア・インドネシア・中南米など旅をしながら絵を描き続ける。95年、サンディエゴで開催されたART SHOW「WALK」への出展、東京では中目黒No.12ギャラリーや青山PRESSIXギャラリ-他、京都や鎌倉など国内外で幅広く活動。09年は6月公開予定のニュージーランド南島を舞台にしたサーフロードムービーに出演。
世界各国を旅したからこそ表現出来る、"新倉孝雄のジャパントラディショナル"を世界に発信すべく、09年夏にドイツ・ベルリンでの個展開催を計画中。